日本人より(!?) 時間にきっちりしているチリ人
- Ayako
- 2018年4月11日
- 読了時間: 6分
バスターミナルへ行くと、あっさり空港行きのバスはないと言われた。
“空港に行くにはタクシーしか方法はないわよ!!”
そんな風に言われても、二時間ほどかかると聞いている空港にタクシーで行けるわけがない。それにこんな観光地で、しかもかなり発展していると思われるチリで空港へ行く方法がタクシーしかないなんてあり得るのだろうか。 しかしそんな風に思う一方で不安に思っている自分もいた。そもそもガイドブックにはカラマ空港からサンペドロ・デ・アタカマ行きのバスのこと、サンペドロ・デ・アタカマからサンティアゴ行きの長距離バスのことは載っていたが、ほかの情報は全然載っていなかった。バックパッカーは飛行機には乗らず、できるだけ長距離バスを利用するだろうし、ツアー客はそれ用のバスが用意されているだろう。だからないと言われても、確かにその可能性はある。しかし、サンペドロ・デ・アタカマの最寄り空港は間違いなくカラマ空港である。きっとそんなはずはない、絶対にバスはあるはずだ。そんな風に思い、もう一度宿に戻り聞いてみることにした。
宿の人に聞くと思いの外あっさりと通じ、どうやらありそうなことがわかった。しかし、夕方のゴミ出しや洗濯で忙しかったらしく、それ以上取り合ってくれない。
“明日空港へ行くのね。明日で大丈夫だから明日聞くわ!!”
と、おそらくなんとなくではあるがそんな風に言われた。その後も心配になり何度か話しかけたがバスのことは通じているようで、とにかく明日に話そうとしか言われない。大阪のおばちゃんのような元気な印象の方で親切な方ではあったが、言葉も通じないし、バスターミナルでないと言われていたので不安だった。結局ネットの環境はとても良かったので自分で調べてみたが情報は出てこず、おばちゃんの言うことを信用するしかないと思い、その日は寝ることにした。 - “空港までは一時間半かかるとガイドブックに載っていたので、余裕を持って二時間かかると思っておこう。朝バスを予約しチェックアウトを済ませてから町まで行き、それから宿に戻ってバスに乗ればおそらく大丈夫だ。” - そんな風に思いながらその日は眠りについた。

翌日の9時すぎ、十分に睡眠を取り、朝食を済ませた後おばちゃんに話しかけた。スペイン語で話すのはとてつもなく時間がかかるのでかなり早めに準備したつもりだった。しかし、おばちゃんはあっけなく、10時半にバスが来ると言う。
“10時半?15時半のフライトで10時半はさすがに早くない?” というのも、そもそもわたしは念のため早めの時間を言っていた。実際は15時半のフライトだったが、遅れるのが怖かったので13時半には空港に着いていたいと話していた。国内線なので二時間も前に着く必要はないのだが念のため早めに言っていたのだ。けれど13時に着くとなると11時過ぎのバスで十分間に合うはずでバスが来るまでの時間でもう一度町に行けると思っていた。しかしおばちゃんはあっさりと10時半のバスだと言う。10時半って、あと一時間半?じゃあ町へ行ってもすぐに戻ってこなきゃいけない…なんて思っていると、おばちゃんはどこへも行ってはだめ!!と、10時にはここにいなさいと付け加えたのだ。
10時半のバスやのに、10時にここにいるって…いくらなんでも早すぎひん? おばちゃんはわたしの気持ちを汲み取ることもせず、かなり急いでいる素振りを見せ、わたしは宿代を支払い、バス代を用意をし、色々話しているといつのまにか10時になっていた。結局荷物を部屋から持ち出したときには“バスが来たわよ!!”と言われ急いでバスに乗り込むとまだ10時15分だった… チリ人は時間にきっちりしている。後々ガイドブックで見るとそんな風に書かれていた。振り返れば前日のツアーも7時から7時半に来ると言っていたガイドさんは6時50分に着いていた。たまたま早いと思っていたがチリ人は日本人よりも時間にきっちりしているのだろうか?10分前行動とはよく言われるが、まさかそれ以上なんて…30分も前に待っているなんて小学校で少し遠出するバスの遠足気分だった。
そんなわけでわたしは町に行く時間もなく、バスは10時半になる前に出発した。後々考えると、バスは宿の人が予約する乗り合いバスでおそらくわたしともう一人の方以外乗る人がいなかったのだろう。わたしの希望した時間にならなかったのはきっと早い時間の人に合わせて乗せるためだったと思われる。そこまで気が回らなかった自分を悔やんだが、とにかく最後に町に行けなかったのが残念でならなかった。



そうこうしているうちにバスは月の谷の横を通りすぎていった。 月の谷はサンペドロ・デ・アタカマで行きたかった場所の一つで本当だったら行けたはずだった。けれど、残念ながら行くことができなかった。本来ならツアーはアタカマ塩湖を午前中周り、夕方から月の谷へ行き夕焼けを見る、というプランが立てられている。けれど、わたしがツアーに参加した日はアタカマ塩湖がなにかの事情により午前中閉園していたらしく、その日に参加するにはアタカマ塩湖か月の谷かどちらかを選ばなければならなかった。どちらも捨てがたかったが塩湖をすでに二つ見ていたわたしはチリの塩湖もどうしても見たかった。結局塩湖を選んだが実際は最後まで悩みに悩んだほど月の谷も行きたい場所だった。そんなこともあり行けなかったことがとてもショックだったのだが、幸い空港へ行く途中見ることができた。
勝手なイメージだが月の谷は火星のようだった。茶色い土というか断崖絶壁というか…自分の表現力のなさが悲しくなるがとにかく延々茶色い高地が続いていたのだ。もはやどこまであったのか記憶にないほどその絶景は続き、ようやく途切れた頃にはもうすぐ空港という看板が出てきた。けれど、その時はまだ1時間も経っておらず、さすがに30分も早くは到着しないだろうから、きっとほかの空港だろうなんて思っていた。しかしバスの運転手さんにここがカラマ空港だよと言われた時にはまだ11時すぎで、予定のフライトまではほど遠く泣きそうになってしまった。
これならもっと町を見れたのに… 遅れるよりはいいのだが、あまりにも早すぎたのでとてもショックな出来事だった。
余談ではあるが、この後フライトは二時間遅延することになり、この日のわたしはほとんどの時間を空港で過ごすことになった。


振り返ると空港で日記を書きながら待った時間も、日本は夜中だなあ~なんて思いながら珍しくリアルタイムでfacebookにアップした時間も、飛行機が送れたおかげでカフェで使える無料券をもらい、それでパンを買いその日の晩御飯にできたことも、空港で人間観察した時間もなかなか貴重ではあるが、何より遅延してよかったのは夕焼け色に染まった景色を飛行機から見れたことだった。残念ながら夕日そのものを見るには席が反対側だったが、窓から見える景色がすべて赤茶色の光で包まれたときは言葉が出なかった。




よく、念入りに準備して準備していざ臨んだ結果、うまくいかなかったり、予定通りに進まなかったのには必ずポジティブな理由があるなんて言うが、まさにその通りと言った出来事だった。きっとこの夕焼けを見るために遅延してくれたのかなと思った。
サンペドロ・デ・アタカマの大地は最後までわたしを魅了してくれた。色んな気づきを与えてくれてありがとうの気持ちでいっぱいだった。
また必ず来るよ〜。
最後にはそれも可能な、そんな気持ちになっていた。
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