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バイバイ、プルママルカ

  • 執筆者の写真: Ayako
    Ayako
  • 2018年3月26日
  • 読了時間: 5分

朝8時に朝食を食べたいとお願いしていたけれど、宿の人たちはのんびりと起き出したところだった。けれど、その後続々と集まってきた宿泊者よりは出されたタイミングが早かったから、前日に伝えていた意味はあったのだろう。

サンペドロ・デ・アタカマへ向かうバスのバス停には8時50分に到着した。バスは朝の9時から10時の間に来るという。バス停から10時に出発するから少し早めにいてね、ならわかるが、9時から10時までの間に来るが、いつ来るかどうかはわからないとはどういうことだろうか。前日の夜不安だったのはまさにこの部分だったが、そう言われたのでとりあえずは念のため早く行こうと思い、10分前にはいることにした。

幸い、バス停(と、言ってもただのホテルの前)に着き少しするとイスラエル出身の男性バックパッカー二人がやってきた。彼らもサンペドロ・デ・アタカマへ行くと言う。これでひとまず安心した。アルゼンチンで二ヶ月半滞在していた彼らはバックパッカーで長旅をしているとは思えないほどキレイな身なりをしていた。わたしのスーツケースやリュックはすでに土がつき、汚れていたが、キレイに保たれていたので印象に残った。少しばかり話をしながらオレオをもらったが、10分経っても20分経ってもバスは来ないので、お互いだんだん口数が少なくなってしまった。正直言って、彼らがいてくれたとは言え、まだまだ不安だったわたしは、それ以外にもたくさん会話したはずの内容を全然覚えていない。小雨も降り始め、空が薄暗くなると、だんだん不安とイライラのごちゃ混ぜになった気持ちになった。安心しきった気持ちはあっという間にどこかへ消え去り、また不安な気持ちがよみがえってきた。


30分ほど経った頃だろうか。見覚えのあるおばあさんが近寄ってきた。

“わ~あなた!!チリへ行くのね!”と、スペイン語だったので雰囲気だけの解釈ではあるが、こんな感じの言葉をかけられた。チリという言葉が出ただけで再び安堵の気持ちがよみがえってきた。とても上品なおばあさんは、この町へ着いた日の夜、宿にチェックインした際話したおばあさんだった。お客さんではなさそうな、だからと言って、宿の人とは親しいわけでもない、けれど、用事があってここにいる…そんな印象を受けたおばあさんだった。この町の人は顔の表情が変わる人が少なかったから、無邪気な笑顔になるおばあさんはとても印象に残っていた。おばあさんはわたしの腕をポンポンと優しくたたき、気を付けてねというような素振りで去っていった。

人間ってとても不思議だと思う。見ず知らずの人に話しかけられて怖いと思うときもあれば、今回のように助けられることもある。特に、気持ちの面で落ち着くというのは不思議でならない。最近ふと気が合う、波長が合うとはどういうことだろうと考えることがあった。そんなことを思ったきっかけは特段嫌いでも好きでもなんとも思わない人と話している中で、まったく意思疎通ができていないと感じたからだ。相手がどう思っているかはわからない。けれど、相手と少しだけ突っ込んだ話をする中で自分が考えていることを話したらまったく違うほうに話がそれてしまった。話をごまかすためにそういう風にする人もいるだろう。けれどそのときはおそらくそういう話ではなく、単純にわたしの話が伝わっていないのだと思った。もちろんそれ一つの話をとって“気が合うとは”なんて考えたわけではなく、いくつもの出来事が重なり合って思った結果ではある。もちろんわたしの伝え方が悪いというのもありえるだろう。 けれど、親しい人が一人でもいる人、もしくは何かの分野においてだけでも気が合う、話が合う人がいる方はわかると思うが、そういう自分の説明の仕方、話し方なんてまったく関係なく、“気が合う人”、どうしてかはわからないけれど、何をするでもなく“通じ合う人”いうのは存在する。そして、そもそも気が合う人はどんな人なんだろうと考えたとき、気が合うも何も考えないことに気が付いた。もちろん、後々あの人とは気が合うな、そういえば知り合ったときからすぐに意気投合した!なんて話はよくあることだ。だからと言って、もしわたしがスペイン語を話せていたらこのおばあさんと気が合ったかどうかはわからない。けれど不思議なもので、本来の自分でいるとき、そういった合う合わないというのは、無意識に感じ取っているようなところがあると思う。そして、いくらこの小さな町とは言え、初日と最終日の不安な瞬間に居合わせたおばあさんに縁を感じずにはいられなかった。

それにしても、もう少し長く滞在していたら、出会う人々が何をしている人か、どんな人か、もう少しわかったのかなと思う。何しろ、ここでの滞在は短すぎた。ここまで短いと駆け足すぎて何も知らないまま終わってしまう。それが全てではないし、時間の長さだけが相手をより知ることに繋がるわけでもないけれど、出会ったおばあさんもどんな人か知っているだけで、旅の印象もまた変わってくるような気がした。



バスは結局9時45分に来た。イスラエル人のバックパッカーもわたしも長時間待った上に雨にも濡れていたせいかすでに疲れていた。しかし、このときのわたしの座席はまたしても一番前。バスの座席は広く、そして一番前は通る道が良く見える絶景ポイントだった。これからサンペドロ・デ・アタカマへ向かうこの道がこの旅で想像以上に印象に残り、帰ってからも度々思い出す場所になるとは、この時は思いもしなかった。


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